1999年ベルギー・コカコーラ事件を知っているだろうか?
ベルギーの小さな学校で、9人の子供が昼食後に具合が悪くなった。頭痛、嘔吐、動悸。原因を追究した教師は、9人に共通した「全員がコーラを飲んだ」という行動を疑った。コカコーラ社は大規模な製品回収を開始し、マスコミも聞きつけ報道した。
この話がベルギー中に広まると、コカコーラを飲んだ1000人以上の少年少女が同様の症状によって倒れた。
その後数週間かけて専門家が調査したところ、飲まれたコカコーラの中からは何も異常なものは見つからなかった。数百人の倒れた少年少女の血液と尿検査も行われたが、何も異常な物質は見つからなかった。
おそらく倒れた少年少女は、「毒の入ったコカコーラを飲んでしまった」と信じ込み、本当に具合が悪くなってしまったのだ。「集団心因性疾患」に感染したと言われる。これは「ノセボ効果」と呼ばれる。非常に強力な効果だ。
日本の現在の状況を見てみると、恐ろしく暗い話題が多い。「日本はもう一流国ではない」「発展途上国並みだ」「日本の未来は暗い」。
マスメディア、SNSがその拡散に大きな力を発揮している。
しかし、本当にそうだろうか?日本はそれほどまでに最悪な状況だろうか?
「GDPが世界2位から3位になってしまった!4位にも落ちるだろう。」とネガティブな意見をよく聞くが、この東洋の小国の日本がアメリカに次いで196カ国中2位だったことが奇跡的で、5位になろうが6位になろうが、素晴らしい活躍ではないか? 現時点で日本より暮らしやすい国はどれだけあるだろうか?日本には様々な素晴らしい面がある。その素晴らしい面にフォーカスすれば、明るい未来を築くことができる。
もちろん様々な問題点はある。しかし、日本はもう終わりだ、日本の未来は暗い、と思うことによって、本当にその未来を迎えてしまう。逆を言えば、日本の未来は明るい、と信じて皆が行動すれば、より明るい未来を迎えることができる。
若者が「俺なんかダメだ、結婚して子供なんか作れない」と思えば、本当にその未来を迎えてしまう可能性が高い。「俺の未来は明るい」と信じて一生懸命働き、日々ポジティブな行動を繰り返していけば、必ず明るい未来が開ける。
ベルギーコカコーラ事件 Humankind 希望の歴史 上(ルトガー・ブレグマン著 野中香方子訳 文藝春秋)
コメント